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名所江戸百景 箕輪金杉三河しま
名所江戸百景 箕輪金杉三河しま
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名所江戸百景 めいしょえどひゃっけい
箕輪金杉三河しま みのわかなすぎみかわしま
筆 :歌川広重
版元:魚屋栄吉
制作年:安政3年(1856年)
《名所江戸百景》は、歌川広重が晩年に手がけた連作で、江戸の町とその周縁に広がる風景、そして人々の暮らしを詩情豊かに描いたシリーズです。《箕輪金杉三河しま》は、江戸北東部にあたる隅田川周辺の風景を主題とした一図です。
箕輪や金杉、三河島は、当時の江戸市中からほど近い場所にありながら、水辺や田畑が広がるのどかな地域でした。本作では、広々とした空と低く伸びる地平線の中に、人々の日常や往来の気配が静かに描かれ、都市と自然が隣り合う江戸の風景が印象的に表現されています。
広重ならではの大胆な構図と、空の表情を大きく取り入れた画面構成により、実際の景色以上の広がりと奥行きが感じられます。遠景と近景の対比、穏やかな色彩の移ろいが、季節や時間の流れまでも想像させる点が見どころです。
華やかな名所とは異なる、江戸の周縁に広がる静かな日常を描いた本作は、《名所江戸百景》の魅力である「暮らしの風景」を象徴する一枚です。見る者に、当時の江戸の空気と穏やかな時間を伝えてくれます。
とりじんじゃ)に向かう人々の行列が描かれています。大きく描かれた手前の格子窓と、遠くの田んぼや富士山などのモチーフの大小の対比により遠近感を出す表現や、縦位置の構図は「名所江戸百景」シリーズの特徴でもあります。
酉(とり)の町詣(まちもうで)は、開運や商売繁盛を願い幸せをかき集める縁起物の熊手(くまで)を求める人で賑わいました。酉の市は江戸の秋の風物詩のひとつでもあります。鷲神社から近く、部屋の中に遊女の小道具である簪(かんざし)や手拭い(てぬぐい)があることから、ここが吉原であることがうかがえます。畳の上にある簪は熊手のデザインです。酉の市のお土産なのでしょうか?自分で買ったのか。旦那衆にいただいたのかもしれません。襖の奥ではどんなやりとりを旦那衆と展開されるのでしょう。夕日に赤く染まった空に巣に帰る雁(かり)の群れが見え、これから遊女の仕事も忙しくなる時間帯です。窓の外を見つめる猫は、外の世界に憧れる遊女の気持ちを代弁しているかのようでもあって、外の風景と内なる部屋のなかと見る人によって様々な想像を抱かせる作品となっています。
